関節機能障害による症状
関節のひっかかり(関節機能障害)による症状は非常に多様です。
教科書に書いてある症状をそのまま書いていきます。
- 痛み
- 運動制限
- 感覚異常
- 筋肉・軟部組織の過緊張、低緊張、凝り
- 筋力低下、筋萎縮
- 腫れ、発赤
- 皮膚の硬化
- その他
【参考文献】AKA関節運動学的アプローチ第2版
非常に多くの症状が関連していると考えられており、私の臨床経験でもこれらと合致します。
これらの内容について詳しく説明していきます。
1.痛み
関節のひっかかりを起こすことで次のような痛みが起こります。
運動痛
引っ掛かりが起こる関節を動かすことで痛みが生じます。
程度は軽度のものからぎっくり腰のような強い痛みもあります。
重度のもののほとんどが捻挫による痛みで、2~3日すれば痛みは徐々にマシになっていきます。この場合アイシングをしてもらうことがあります。
捻挫の症状はなくなっても関節機能異常が残っている場合もあるので、
それに対する治療は必要です。
関連痛
関連痛とは障害が起こった関節より離れた部位に痛みを感じることです。
私の経験上、手の症状は肋骨と背骨の関節である肋椎関節の異常で起こり、
足の症状の多くは骨盤にある仙腸関節に多いです。
バネ指・腱鞘炎・指先の痛みなどでも必ず体幹から治療を行います。
圧痛
関節機能障害を起こしている関節の付近を押さえると痛みが起こります。
関節周辺にある靭帯や筋肉の異常な緊張によって起こると考えられています。
中には触れただけでも異常な痛みを起こしている場合もあり、
これは反射性交感神経性ジストロフィーによる異痛症によるものです。
触れるだけでも痛いため力が入って関節を治療できないことが多いです。
その場合は他の関節から治療を行います。
2.運動制限
運動制限とは動かしたい関節が何らかの理由によって可動域が制限されることを言います。
・痛みによって動かせない
・周辺の筋肉の緊張によって動かせない
などの症状を起こします。
いわゆる50肩が典型的な例です。
初期には痛みによって動かせなくなり放置していると周辺の筋肉が固く拘縮してしまいさらに動きの悪さが顕著となります。
3.感覚異常
感覚異常はシビレ、感覚が鈍くなる(鈍麻)、冷感などが当てはまります。
関連痛と同じ部位に感じることが多く、真の神経支配領域とは一致しません。
神経支配領域と一致する感覚の異常は物理的に神経を圧迫していることが多いです。
それ以外の場合は治療によってシビレが軽減したり、消失していきます。
4.筋肉・軟部組織の過緊張、低緊張、凝り
肩こりや筋肉の張りは関節機能障害によって起こることが多いです。
関節が引っ掛かることが原因で凝りや筋肉が張るので、マッサージをしてもすぐ戻るか効果がありません。
例えるなら建付けの悪い扉を何度も開け閉めしているような感じなので、筋肉に負荷がかかり緊張状態が続くため使い過ぎのような症状が起きたり、凝りを感じたりします。
5.筋力低下、筋萎縮
痛みが激しい時には筋力低下が起こることもあります。
他の症状と同じように関節機能障害を取り除けば改善することが多いです。
神経の支配領域とも一致しない筋力低下なので鑑別は容易です。
6.腫れ、発赤
関節機能障害が続くと関節周辺に腫れや発赤を認めることがあります。
動きの悪い状態で無理に動かしていると関節内液が溜まったり、ぼんやりと関節周囲が腫れていることがあります。
7.皮膚の硬化
長期間放置していると関節周囲の皮膚が硬くなることがあります。
皮膚が硬くて柔軟性がなくなり、動かしにくくなります。
8.その他
その他には、
・めまい
・頭痛
・かすみ目
・耳鳴り
などの関節機能異常によって起こることがあります。
まとめ
関節の引っ掛かりによって起こる症状は多種多様です。
現代医学では変形による症状と言われていても、実は関節機能異常だったということは少なくありません。
当院でどこに行っても治らなかった症状が治ったと言われるのには、
こういった手技療法の特殊性があるためです。