・なかなか寝付けない
・不眠で困っている
・寝た気がしない
・眠剤を飲んでいるけど多くなるのが怖い
・途中で何度も起きてしまう
現代医学ではこれらの症状に対する治療は眠剤しかありません。
しかし東洋医学では不眠のタイプを細かく分類し治療することが可能です。
もし不眠でお困りでしたら当記事を参考にしてまずは生活習慣を見直してみましょう。
睡眠を取るために必要なこと
正常な睡眠について
不眠を知るためには正常な睡眠とその効果を知っていなければいけません。
まずは睡眠がどのように行われているのか解説していきます。
睡眠に必要なもの
良い睡眠を取るためには必要なことがいくつかあります。
まずはそれを紹介します。
必要なことその1 疲労の蓄積
睡眠をするために必要なものとして、日中の疲労の蓄積があります。
起きている時間が長いほど疲労が蓄積し、その大きさによって睡眠の欲求度が上がります。
普段寝付けない人でも徹夜をすると深い眠りにつけるのがその証拠です。
また、一日の消費カロリーが多ければ多いほど深い睡眠となります。
コウモリやネズミなどの運動量の多い動物は睡眠時間が長い傾向にあります。
つまり、疲れていなければ眠れないということが言えます。
年齢とともに眠ることが出来なくなるのは活動量の低下も関係しています。
家にいることが長く、昼寝もしているようであれば夜に寝ることはできない、もしくは浅い眠りしかできなくなります。
必要なことその2 睡眠導入のホルモン
メラトニンというホルモンは睡眠導入に欠かせないホルモンとして有名です。
このホルモンは日光などの光刺激によって分泌量を調整しており、明るい場所では分泌が低下し覚醒状態となります。
このホルモンのおかげで朝きちんと起きて夜に眠ることができます。
きちんと寝るためにはメラトニンの分泌を妨げないように部屋は暗くし、スマホなどの光刺激は避けるようにするとメラトニンが正常に分泌されます
必要なことその3 体温の上下降を利用する
40度のお風呂に15分ほど浸かると脳の温度は約0.6度~1度上がります。
脳温が上がると体は適正な温度に戻そうとするため手足の血管を拡張させて、皮膚から温度を逃がそうとします。
脳の温度が下がるこの時期が睡眠しやすい時期となります。
ちなみに運動で同じような温度の上昇と下降を得ようとすると50分ほどの歩行運動が必要となるので大変です。
一度上がった温度を下げるために体が欲するのが睡眠という冷却効果です。
後ほど説明しますが、睡眠には脳の冷却機能の効果があるので、わざと温度をあげて睡眠しやすくすることも一つの手段です。
冬場などのヒートショックを防ぐために暑い場所から急に寒い場所に出ないようにしましょう。
睡眠の役割について
睡眠を取らずにいると体が疲れやすくなったり、体が火照りやすくなったり、集中力が低下することは誰しも体験したことがあるかと思います。
仕事や遊びでたまに夜更かしをすることは私も構わないと思いますが、
それが習慣になっていると話は別です。
睡眠不足による症状は最初は自覚できますが徐々に体が症状として危険信号を出さなくなります。
体が疲れていることに気づかない、集中力が低下していることに気づかないということが起こります。
今一度睡眠の重要性を理解し、良い睡眠を取れるような生活サイクルに戻しましょう。
睡眠の役割その1 脳の熱放散
脳は他の臓器と比べても血液量が豊富で、覚醒時は温度が高くなりがちです。
この状態が長く続くと脳がオーバーヒートのような状態になるため、睡眠時に冷却を行います。
睡眠前に子どもの手足がぽかぽかするのは手足から熱を放散しているからです。
皆さんも聞いたことがあると思いますが睡眠には二段階あり、レム睡眠とノンレム睡眠に分けられます。
レム睡眠は眠りが浅く夢を見る時間帯で、ノンレム睡眠は眠りが深い状態を表しています。
深い眠りのノンレム睡眠時に昼間に酷使した脳が集中的に冷却され、休養を取らせます。
レム睡眠時には血圧や脈拍が変化するため覚醒状態に近くなっています。
この熱放散は自律神経によって手足の血管が拡張され温度が下がります。
睡眠の役割その2 体の修復時間
成長ホルモンというホルモンはその名の通り成長を促すホルモンです。
子どもの発育を促すためそう呼ばれています。
成人になってもこのホルモンは分泌されており、筋肉や骨、皮膚の修復する作用があります。
このホルモンは特にノンレム睡眠時に分泌されることが知られています。
諸説ありますが、時間帯も重要で夜10時~2時の間に良質な睡眠をとっていなければいけません。
その日の疲れが翌日に残るかどうかは成長ホルモンをうまく引き出す睡眠を取ることにかかっています。
特にスポーツ選手などの体を酷使する人や肌の調子が気になる人やモデル業をしている人は睡眠を怠るとケガや肌荒れの原因となるので注意が必要です。
睡眠の妨げになること
良質な睡眠は生活の環境を一変してくれます。
ここでは睡眠が浅くなったり、寝つきにくくなる原因を解説いたします。
体の疲労が少ない
近年ではコロナ渦の影響、デスクワーク、高齢化などによる運動不足が不眠の原因となる場合が多いです。
日中の活動量が睡眠の質を左右するため良い睡眠を取るには適度な運動も必要です。
光刺激が過剰
メラトニンの分泌を低下させる光刺激は睡眠導入の妨げになります。
部屋は消灯し、寝る前のスマホやゲームはやめましょう。
脳の温度が高い
全身を巡る血液の15%は脳へ流れ込んできます。
血液が多いほどその部位の温度は上がるので脳の温度も必然的に高くなります。
そのため発汗に問題があり熱放散が上手くできない人、目や頭の使い過ぎ・悩み事・心配事・考え事を良くする人は脳の温度が高いため寝つきにくくなります。
タイプ別不眠症の分類
東洋医学的な体の状態を見てみると現代の生理学的な解釈と似た状態が書かれています。
「症状による中医診断と治療 上巻」によると、
不寝(ふしん)
不寝とは常に睡眠が不足することを言い、寝つきが悪い・すぐ目が覚めてなかなか寝つけない。
甚だしければ夜通し眠れない症状も含める。
異常な暑さや寒さ・不適当な寝具・睡眠前の興奮性の飲料摂取・精神的刺激や考え事などは含まれない。
疼痛・喘咳・掻痒によって眠れないものは含まれない。
とあります。
東洋医学的不眠症の原因をザックリまとめると頭の熱!
現代医学でも東洋医学でも似たような解説になりますが、頭の熱によって不眠症状が起こります。
頭に熱がこもる原因には様々なものがあるので下記の分類を参考に、
ご自身がどれに当てはまるか見てみましょう。
肝胆鬱熱(かんたんうつねつ)タイプの不眠
悩みや怒りによって体内に滞りが起きて熱が生じた状態です。
・眠りが浅く夢をよく見て目覚めやすい
・いらいら
・怒りっぽい
・よくため息をつく
・口が苦い
・目の充血
・尿が濃い
などの症状が特徴的です。
痰熱擾心(たんねつじょうしん)タイプの不眠
暴飲暴食や脂っこい物や甘い物の過食によっておこる不眠症です。
食べ過ぎることでみぞおちの辺りが痞え(つかえ)、上半身に熱がこもることで不眠となります。
・睡眠が浅く良く夢を見て目覚めやすい
・胸が苦しい
・多痰
・悪心
・嘔吐
などが特徴的な症状です。
心火(しんか)タイプの不眠
東洋医学でいう心には血液循環のほかに精神状態を安定させる機能もあります。
心労(精神的な不安)により心の機能が亢進することを心火といいます。
このタイプは、不眠・多夢と同時に、
・胸の熱さ
・顔面紅潮
・口が苦い
・口内炎
などの症状があります。
陰虚(いんきょ)タイプによる不眠
陰虚とは陰液が虚することをいいます。
東洋医学では陰陽で物事を分類する陰陽論というものがあります。
例えば男性は陽、女性は陰で昼は陽、夜は陰など皆さんも言われるとなんとなくそんな感じがするかと思います。
実は体の機能でもそれが適用されています。
陰は体をクールダウンさせる機能や栄養を供給する血・精・津液のことを総称して陰液といいます。
これらの物質がなんらかの理由で損なうことで陰虚という状態になります。
陰虚になりやすい原因として、
汗のかきすぎ、出産、体の酷使、早老化、慢性病、長期間の不眠など体に長期間の負荷がかかり続けると起こりやすいです。
陰虚になると体をクールダウンさせることができないため体が熱に偏ります。
体が弱って起こる熱なので虚熱と呼ばれており、陰虚の人の特徴的な症状として
・五心煩熱(手足のほてりと動悸)
・盗汗(ねあせ)
・午後の潮熱(定刻の熱)
などの症状があります。
特に手足のほてりが多い症状です。
タイプ別不眠症の対策
肝胆鬱熱(かんたんうつねつ)タイプ
イライラや怒りが原因となって起こるので、
ストレスをため込まないことが大事ですがこのご時世なかなか難しいかと思います。
ですので、ストレス発散のためによく体を動かしてください。
少し激しめの運動で体を疲れさせるくらいの運動が良いでしょう。
痰熱擾心(たんねつじょうしん)タイプ
暴飲暴食によって起こる不眠症なので食事に気を付けてください。
特に脂っこい物や甘い物の食べ過ぎは胃腸に負担がかかりやすいので要注意です。
このタイプの不眠は数日だけというタイプが多いので長期間悩んでいるという方は少ないです。
心火(しんか)タイプ
長い期間悩みを抱えることで心の機能が亢進し、熱症状が起こります。
対策としては肝胆鬱熱タイプと同じで運動が良いです。
しかし長い期間悩み事をしていると陰虚も起こるので多くの人は陰虚傾向にあると思います。
陰虚の項目も参考にしてみてください。
陰虚(いんきょ)タイプ
陰虚は陰液が不足することで起こりますが、その陰液を補う一番の方法は「早く寝る」ことです。
不眠がテーマなのに早く寝てくださいというのは少し矛盾していますね。
なので今回は陰液を補う食薬をご紹介します。
東洋医学では「滋陰」といい陰液を補う食べ物として以下のようなものがあります。
・草イチゴ
・小松菜
・アスパラガス
・白ごま
・卵
・豚肉
・チーズ
・すっぽん
・あわび
・牡蠣
などがあります。
これらをこまめに摂取しましょう。
鍼灸治療について
東洋医学的な不眠の原因を見極めそれに応じて治療するツボを決めたり、
養生の指導を行います。
養生の指導内容は上記している内容がほとんどですので、ご自身に当てはまるタイプの対策を行ってみてください。
それでも治らないようであれば一度ご相談ください。
詳しい料金や内容は「鍼灸治療について」をご参考ください。
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