上肢や下肢の切断後、あるはずのない部位に生じる痛みを幻肢痛と言います。
切断後の患者さんの約80%が切断した部位が存在すると感じるとの報告があります。
症状として、電気が走るような、しみるような、刃物で切り裂かれるような痛みがあったり、痙れんやこむら返りのような痛みを訴える患者さんが多いです。
まだ当院でも幻肢痛の患者さんに出会った機会は非常に少ないですが、私ならこう治療するであろうという見解をここでご紹介しようと思います。
1.幻肢痛と関連痛
1-1.関連痛について
現代医学的に言われる関連痛には、内臓の痛みを伝える神経と皮膚の痛覚を伝える神経が共通の通路を通って脳へと信号を送ることによっておこるとされています。
有名なものでは心筋梗塞が起こった際に左胸部、左上腕に痛みが起こるとされています。
他にも胃潰瘍では上腹部・左背部など体表面の痛みをして感じるものを言います。
実はこの関連痛は関節や筋肉の異常によって、起こることがあります。
1-2.関節の異常による関連痛
当院で行う治療の一つにAKA療法という手技(手で行う治療)があります。
この治療方法の新しい概念として注目されているのが関節機能異常というものです。
関節機能異常とは、捻挫後や長時間の同じ姿勢などによって起こるわずかな関節のズレを言います。
この関節機能異常が体幹の関節(背骨と背骨の関節や肋骨と背骨の関節、骨盤の関節)に起こることで、四肢に痛みや痺れ、放散痛(関連痛)を起こすことが報告されています。
当然、体幹の関節にAKA療法を行うことで四肢への症状が軽減又は消失していきます。
上記した画像は、【関節運動学的アプローチー博田法】から引用した、関連痛に関する画像です。
胸部の背骨である胸椎に関節機能異常が起こった場合は、腕や手に症状が起こります。
骨盤の関節である仙腸関節に痛みが起こった場合は、太ももやふくらはぎなどの下肢に痛みが生じます。
1-3.筋肉の異常による関連痛
当院で行う治療の一つにトリガーポイント治療というものがあります。
この治療方法は、筋肉に過度の負担がかかることで生じる筋肉の過緊張によって、その筋肉に応じた遠位の領域に痛みや痺れ、感覚過敏(関連痛)などの症状が起こることを言います。
上記した画像は【トリガーポイントマニュアル第Ⅲ巻下肢編】にある小殿筋というお尻の筋肉にトリガーポイントが生じた際に起こる関連痛の画像です。
1-4.幻肢痛と関連痛の関係
以上のことから、現代医学的に言われている幻肢痛の原因である、脳の誤認や切断部の神経腫による神経の興奮、循環障害、心理的な要因以外にも幻肢痛が起こってもおかしくないと私は思います。
特に切断のある患者さんは重心の位置や体幹の使い方が急に変わって関節や筋肉に負担がかかることは容易に想像できます。
これらの治療技術を合わせて行うことで痛みを軽減させることが可能ではないかと考えています。
2.幻肢痛の治療内容
2-1.問診
まずは幻肢痛が起こりやすい姿勢や動作、または法則などをお聞きします。
その他にも生活習慣や睡眠の状態など詳しく問診します。
2-2.検査
幻肢痛と関連のある部位の筋肉や関節の可動域を検査します。
2-3.治療
検査後は施術に移ります。
治療内容としましては、問診や検査から以上のある筋や関節を特定しアプローチしていきます。
上記したAKA療法やトリガーポイントを行い症状の変化を観察していきます。
治療後には生活習慣で関節や筋肉が悪化する要因を取り除くように指導します。
3.さいごに
現代医学ではあまりアプローチ方法のない幻肢痛ですが、
視点を変えればリハビリによって軽減することも考えられます。
幻肢痛は義肢の装着により痛みは消失していくことも多いと報告されています。
それでもお悩みの方は一度当院にご相談ください。
4.お問合せについて
当院へのお問合せの前に必ず※治療をお断りする場合をお読みください。
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